2012年4月25日水曜日

痛みのひかない足首の捻挫(捻挫後遺症)


その他、頻度は少ないものもありますが、捻挫後遺症として扱われ、後から診断がつくことの多いものを以下に挙げてみます。

図中(2):遠位脛腓結合損傷

これは下腿の脛骨と腓骨をつないでいる靭帯様組織なのですが、足首の捻挫で損傷することがあります。場所は外果よりも前上方です(図中(2))。程度が強いと脛腓結合離開といって、腓骨と脛骨の間が広がります。ここまでなると多くの場合、手術が必要ですが、軽度の場合、レントゲンでは異常がなく、足関節捻挫と考えられることがありますが、前距腓靭帯損傷よりも長期にわたり痛みが続くことが多いため、捻挫の後遺症として扱われていることがあります。治療に際しては、ギプスも4から6週間と長めの固定が必要です。

図中(3)、(4):腓骨筋腱炎・腓骨筋腱脱臼


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外果部のすぐ後ろから下にかけてに腓骨筋腱という腱が走行しています。この腱に沿って(外くるぶしの後ろ側)痛みが見られることがあります。
捻挫をきっかけにこの腱に炎症が起こると腓骨筋腱炎という病態になります。外用薬や局所注射が有効なことがあります。慢性的な炎症を来す場合、足根骨癒合症(下の足根洞の項目参照)という病態が隠れていることがあります。
また、足首を捻った際にこの腱を押さえている靭帯が切れ、腱が外果部に乗り上げてしまうと腱脱臼となります。腱脱臼は受傷後早期には腫れや痛みのため、気付かれないことも多いものです。いつまで経っても痛みが引かなかったり、足首の動きにあわせて外くるぶしの部分でコリッと言う感触があるのが特徴です。ただ、早期に発見できたとしてもギプス固定などでは治癒しにくいとも言われており、原則的には手術が必要です。

図中(4):距骨下関節


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足関節捻挫の場合、今までは外側側副靭帯損傷が主な原因と考えられてきましたが、近年、足関節捻挫の痛みが取れない原因部位として、距骨下関節という部分が注目されています。これは距骨という足首の骨と踵骨との間にある関節なのですが、主に足の内外反運動をつかさどっています。この2つの骨をつなぐ骨間靭帯という部分に損傷があるのではないかと考えられていますが、今のところ、この靭帯機能を正確に評価する方法は確立されていません。そのため、治療法もまちまちですが、一般的には外側側副靭帯の不全治癒を合併しているので、この靭帯の再建を行うと症状の改善を見るようです。足根骨癒合症(下の足根洞の項目参照)がある場合に� ��この部位に痛みを来すことがあります。


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図中(5):足根洞

前距腓靭帯と二分靭帯の間近くに骨のくぼみがあります。これを足根洞と呼びます。この部分が捻挫の後に腫れて痛みが引かないことがあります。この状態が見られるとき、しばしばあるのが足根骨癒合症と呼ばれるものです。これは足根骨という骨が靭帯でつながって足の甲を形成するのですが、本来別れるべき足根骨同士が一部癒合している状態です。完全に癒合すればまだ良いのですが、線維癒合と言って、完全に癒合していない状態のことがあります。この場合、捻挫によってこの線維癒合に損傷を来たし、痛みが生じてしまうのです。足根骨癒合症のある方には扁平足を合併していることが多いのも特徴です。腓骨筋腱炎を合併していることもあります。治療は装具療法や局所の注射などですが、手術治療が選� �されることもあります。

図中(7):後脛骨筋腱 腓骨筋腱と同様、腱脱臼を来すことがありますが、非常にまれです。内側の靭帯は基本的によく治るものですので、内側にいつまでも痛みが残っているような場合にはこれも鑑別しておく必要があります。


図中(8):有痛性外脛骨 これは先天的に後脛骨筋の付着部である舟状骨結節に豆状の骨が分離している状態です。外脛骨は約10%程度に存在すると言われていますが、痛みを伴うかどうかは別です。後脛骨筋に引っ張られて慢性の痛みを起こすことがあります。捻挫を契機に痛みが出ることがあります。扁平足を合併していることが多く足底板や靴の処方で改善することが多いです。難治性の場合には骨片摘出手術を行います。

図中(9):リスフラン靭帯損傷 足の甲ほぼ中央に痛みが生じます。通常は捻挫を伴うことはなく、最も多いパターンが走行中、カーブで足を踏ん張った際に痛みが生じるというものです(カーブの外側足)。はっきりとしたきっかけがないため、捻挫したの"だろう"と考えられてしまうこともあります。比較的難治性で、半年程度痛みが持続することがあります。症状が強いときには手術が選択されます。



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