2012年5月6日日曜日

社会不安障害


はじめに

 行動療法・認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy)という名前はこの数年,よく耳にするようになりました。行動療法という名前の方が古いのですが,認知行動療法という名前の方が今では広く使われるようになりました。この章では認知行動療法の名前を使うことにします。
世界レベルでは認知行動療法は精神療法のトップの地位を占めるようになりました。一流の医学雑誌や欧米の政府機関が刊行する治療ガイドラインでは認知行動療法が必ず取り上げられています。
  一方,日本では認知行動療法は一般の方にも専門家の方にもまだなじみの薄い治療法です。1980年からの日本語の新刊書のタイトルを検索してみると(
  行動療法の適用範囲は本来とても広いのですが,この章では社会恐怖に関連したところに限って述べます。そして,社会恐怖の治療についての最新の情報はどのようにしたら得られるか,について最後に解説することにします。

認知行動療法とは

 1950年代にジョセフ・ウォルピやハンス・アイゼンク,バラス・スキナーらによる実験心理学・学習理論を精神障害に応用する試みがこの治療法の始まりでした。この頃は脱感作療法や条件付け療法,行動変容などと呼ばれていました。1958年にアイゼンクが行動療法という名前を用い,それからこの治療法が一つのものとして認められるようになりました。60年代にアルバート・バンデューラの社会学習理論が取り込まれました。70年代から臨床の目的に合わせて複数の技法を組み合わせた治療パッケージが作られるようになりました。その一つにアーロン・ベックの認知療法があります。この頃から行動療法は認知行動療法と呼ばれることが多くなりました。
  認知行動療法には単独の創始者はありません。何人もの研究者が競って精神や行動に関する研究方法や理論を編み出し,それらが臨床に導入され,さらに理論が生まれ,技法がつくられ,それらが修正されたり組み合わされたりしてできてきたものです。その共通の基盤は,見たり聞いたりして確かめることのできる心の活動,すなわち行動を対象にして,事実を系統的に時間をかけて集め,測定し,仮説をたててそれを検証していくという研究開発の方法自体にあります。したがって,いつまでも未完成のものであり常に変化しています。行動療法とはなにかという定義すら1958年の最初のものは現代にはあてはまりません。神経症に対する治療として始まった行動療法ですが,現在の適応は体の病気にまで広がってきています。

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社会恐怖に用いられる認知行動療法の技術

 認知行動療法は患者さんの問題の原因を探るよりも,解決しやすいところから問題に取り掛かっていこうという姿勢を持っています。患者さんの問題の中で変えやすいところ,変えることが他の問題の解決に結びつきやすいところを見つけ出し,それを扱いやすい形に捉えていきます。そうしたことを可能にする具体的な技術を持っています。患者さんはいくつも問題を重ねて抱えていることが普通なのですが,それぞれの問題に応じて技術が用いられます。社会恐怖の方の代表的な問題には,対人場面での不安症状や対人場面を避けること,対人場面での振舞い方がまずい事,自己評価が他人の態度によって悪くなりやすいこと,などがあります。これらそれぞれに応じて認知行動療法の技法が用いられます。不安症状に対す る治療で必ず含まれる方法がエクスポージャーです。他に社会技術訓練(ソーシャルスキルトレーニング,SST)や不安対処訓練,認知修正法もよく用いられる技術です。図 1で治療の流れ図を示しました。

図1 治療の流れ図


慢性疲労症候群と闘う
不安や緊張感を生じる場面や状況(恐怖刺激)に対するエクスポージャー

 特定の場面や状況で不安や緊張感(不安症状)が生じたり,そうした場面や状況を避けるという問題(回避症状)に対して有効な治療法です。不安症状を生じる場面や言葉,頭の中の想像は患者さん一人一人で異なりますが,そうした場面や状況を恐怖刺激と呼びます。恐怖刺激に対して,不安症状が収まるまで,十分な時間,逃げたりしないで触れつづけることをエクスポージャーと呼びます。これを繰り返すことにより,不安症状や回避症状が良くなります。この技法を行いやすくしたり,その効果を高めたりするためのさまざま技法・工夫があります。エクスポージャーにも表1が示すようにさまざまな種類・工夫があります。これらの中で中心的なものが現実エクスポージャーです。これは患者さんが実際の生活で困難� �感じるような場面や状況にできる限り似通った恐怖刺激を用いるものです。付随して用いる技法にハエラキー(不安階層表),自覚的障害単位,セルフモニタリング,ホームワークなどがあります。

表1

  名称 内容 特徴
誰とするかによる分類 治療者同伴
エクスポージャー
治療者がそばについて行う 最初はこれから

セルフ

エクスポージャー

患者さん本人で行う 治療セッションが終わった後,次回までに行う宿題としてセルフエクスポージャーの課題が与えられる

グループ

エクスポージャー

同じ病気を持った患者さんが集まって行う 対人行動や不安対処の仕方についてモデルを通じて学ぶことができる
不安・緊張を起こす場面の種類による分類 イメージ
エクスポージャー
対人場面のシナリオを作り,その場面を思い浮かべて行う 現実の場面が用意しにくいもの(結婚式のスピーチで失敗するなど)の場合には便利

ロールプレイ
(行動リハーサル)でのエクスポージャー


痛みの軽減ゲル
治療者や補助治療者が同伴し,グループの中で実際の対人場面のシミュレーションを行う 現実エクスポージャーの予行練習。不安対処訓練もこの中で行う。
現実
エクスポージャー
実際の場面に出向く 治療の最後には必ず必要になる。現実の対人場面ではその場で実際に何が起こるか予測がつかないという問題がある。
電話やインターネット・パソコン通信などの相手と直面しない方法を用いる時もある。
不安・緊張を起こす場面の強さによる分類 段階的
エクスポージャー
弱いものから行う ハエラキーをつくりステップバイステップでおこなう
フラッディング 強いものから行う 対人場面の性質から段階的には作れないものの場合にはこの方法をとる。例えば,上司に会うなどの場合は上司の了解がない限り,対人場面の恐怖の度合いを調節することはできない。

 エクスポージャーはただ闇雲に蛮勇を奮って突入するものではありません。やりやすいように楽なところから段階的に進めていきます。最初に恐怖刺激を良く調べ,エクスポージャーをした際に不安症状がどの程度起こるか予測を立てて,それにしたがって治療の計画を立てます。長年,人と会うような場面を避けていて閉じこもりきりなっていた患者さんの場合には実際に人と会ったらどうなるのか本人にもよく分からない場合があります。このような場合はエクスポージャーテストとして,比較的軽い刺激に試しに触れて見るようなことも行います。
  恐怖刺激がわかったら,それらが不安症状を起こす強さを比べて順番をつけます。この順位表をハエラキーと呼びます。一例を表2に示します。

表2 ハエラキーの例

 次にそれぞれの恐怖刺激で感じる不安を患者さん自身が自分で数字の形で評価できるようにします。この数字を自覚的障害単位(SUD)と呼びます。SUDのグラフを書けば,患者さんにも治療の進み具合がよく分かります。不安なしを0,最高の不安を100とすることが多いです。治療が始まる前はどんな対人場面でも怖いと思っていた患者さんが,ハエラキーを作ることによって,ある場面はこれだけ怖い,別の場面はどうということはない,ということが分かる,つまり怖い状況の区別を患者さん自身でできるようになればエクスポージャーはもう成功したようなものです。
  ハエラキーができあがり,患者さんがSUDを評価できるようになったあとにエクスポージャーの計画を立てます。エクスポージャーは週に2回以上行うことが必要です。1回以下であると恐怖刺激に対する不安反応がいつまでたってもなくならないことがあります。対象となる刺激はできるだけ現実の生活で遭遇するものに近いものを選びます。またエクスポージャーをすることによって患者さんに直接利益が得られるようなことを選びます。
  エクスポージャーを始める前にどのようなことが患者さんに起こるのかが十分予測できるようにしておくのが治療の理想ですが,やって見たら意外なことがあったというのは避けられません。エクスポージャーをしてみたら思ったより刺激が強くて途中で逃げ帰ってしまった,嫌な気持ちだけが残ってしまったということもあります。残念なことですが,このことを元にしてハエラキーを作り直したり,エクスポージャーの状況や設定を変えてみたりするなどして,次を試みます。段階的に進めていくことは認知行動療法の特徴ですが,途中で一歩戻ってまた出直すことも特徴の一つです。


アリゾナ減量催眠療法
セルフモニタリング

 日常生活や仕事などで対人場面に接することがあるならば,こうした場面での不安症状を毎日記録することが役立ちます。この方法はセルフモニタリングと呼ばれます。エクスポージャーと同じように自覚的な不安尺度が用いられます。
  エクスポージャーの段階が進むと患者さん自ら恐怖刺激に向かっていくことが必要になります。こうした課題を宿題と呼びますが,宿題の進行状況を日記の形で記録することもセルフモニタリングの一つです。

心理教育

 どのような病気にも通じることですが,治療を受けるときには治療について十分な説明があり,どのような結果が得られるかについて患者さん自身が分かっていることが大切です。患者さん自身の努力が必要な場合は特にそうです。社会恐怖について説明を行うことを心理教育と呼びます。

不安対処訓練

 最初のエクスポージャーで不安症状がさっと霧消すれば最高ですが,そうはいきません。広場恐怖と比べると社会恐怖での不安症状は下がりくい傾向があります。現実エクスポージャーの場合は現実の人を相手にするだけに,予想もしない相手の一言・仕草で不安症状が突然強まることがあります。こうした場合の不安症状に対する対処方法があります。一番容易なものは抗不安薬やβブロッカーの事前服薬なのですが,認知行動療法の技法としてリラクセーションや呼吸法,注意の向け方・そらし方があります。その場ですぐにできることではないので治療者同伴のエクスポージャーやロールプレイの中で治療者の助言のもとに対処法を実際にやってみることが行われます。


ソーシャルスキルトレーニング(生活技能訓練,SST)

 社会恐怖の方は話下手,聞き下手であることが多いです。日常の何気ない挨拶や会釈が苦手です。子供が日本語を自然に学ぶように健康な方であれば人との接し方も自然に身に付くのですが,社会恐怖の方は,たとえ不安症状がなくなっても人との付き合い方は自然には上達しません。系統的な練習が必要になります。38歳男性会社員に行ったソーシャルスキルトレーニングを例に上げて説明します。
  患者さんは人と一緒にいるときの緊張感,人と話しができないことに対する苦痛を訴えていました。面接中は,視線を合わせず,うつ向いている事が多く,単調な話し方でした。会話中に,瞬きを繰り返していました。話し相手の態度をよく見ておらず,一方的に話していました。3人以上の場面では,緊張が強く,自分からは話せませんでした。人が集まるところは避け,事務係員に用事があるときには相手が一人でいるときだけ声をかけていました。話すこと自体は好きで,他人から話しかけられると,ぺらぺらとよく話すのですが,一方的でダラダラとした長話になっていました。相手の態度を見ず,相手が理解しているかどうかを確かめないで話すためのようでした。道や廊下を歩くときは,他人と視線が合わないように,背中を丸 めて歩き,知り合いに会っても挨拶しませんでした。
 3人以上の中では,話のタイミングをつかむことができず,患者さんは他の人から話しかけられない限り,ずっと無言でした。また,他人が話している間もうつ向いており,うなずく,合いの手をいれるなどの他人の話を聞く技術が下手でした。患者さんはこうした状況を苦痛に感じていました。
 治療目標の行動として,a)視線:相手の目を見る,b)姿勢:背筋を伸ばす,c)話し方:適度な間と,聞き易い声の調子,d)内容:話しの筋道が通り,言いたいことははっきり伝える,e)司会:相手の話を引き出したり,止めたりする。3人以上で話すとき,話に割り込む,f)非言語行動:適度なジェスチャーがあり,貧乏ゆすり・瞬きがない,としました。
 実際の治療で� �,視線を合わせることの意義,合わせるタイミング,話すときの姿勢について患者に説明しました。現実の対人場面では,視線を合わせることがほとんどなかったため,まず,鏡を利用して,鏡の中の自分に視線を合わせる事,表情をつくる事,姿勢を正すようにしました。次に,患者,他の神経症患者,治療者の3人で話すセッションを設け,他人が会話しているときの割り込み方,自分から話題を出す方法,他人に話をさせる方法を,教示,プロンプト,行動リハーサルなどを行いました。2ヵ月後には数人以上人が集まっている場所でも自然な対応ができるようになりました。

認知修正法

 社会恐怖の方は対人場面での自分の振舞いについて必要以上にダメだとか他人に不快感を与えているなどと考えている場合があります。相手の何気ない仕草を大げさに捉えてしまう場合もあります。相手の考えを読み取るのが下手なためなのでしょう。こうした考え方を修正することを認知修正法と呼びます。本当に他人が不快感を感じているかどうかを実際に確かめさせたり,自分の考えを別の角度から見直したりができるようにしていきます。

維持療法・再発予防

 認知行動療法は,薬物療法と比べてエクスポージャーの方法を患者さん自身が身につけるので再発は少ないとされます。再発予防のプログラムや数ヶ月後に再度エクスポージャーの機会(ブースターセッション)を設けることもあります。

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医療情報を探す

 認知行動療法について紹介するとき,一番の問題点は"どこでそうした治療が受けられるか"ということです。認知行動療法を知っている専門家が不足していますし,認知行動療法に詳しい治療者がいたとしても実際にはどのようなことを行い,どのような精神障害を得意としているかを外の人間が知る手段はないのが現状です。残念ながら,私からここが良いとはっきりとご紹介できるところはありません。
  探す糸口を一つご紹介します。最新の医学論文はデータベース化され,インターネット上でアクセスすることができます。インターネットにアクセスできる環境があれば,最新の英語医学論文は簡単かつ場合によっては無料で手に入れることができます。日本語は有料であることが多いですが,可能です。こうした論文や論文の抄録をご覧になってみることをお勧めします。社会恐怖の認知行動療法についての論文の著者であれば,認知行動療法について知っているでしょう。表3に具体的な問い合わせ先を載せました。

表3 インターネットで医学情報を探す

  サイト名 URL/特徴

PubMed

米国国立医学図書館(National Library of Medicine:NLM)の国立バイオテクノロジーインインフォメーションセンター(NCBI)によるMedlineの無料サービス。

Agency for Health Care Policy and Research

米国連邦政府機関による医療情報の広報機関
治療ガイドラインやユーザー向けの情報がある。

National Institute of Mental Health

米国連邦政府機関による精神科情報。ガイドラインやエキスパートコンセンサスレポートがある。

Medscape Psychiatry

総合的なオンラインジャーナル 学会報告などのニュース,症例検討もある。広告収入で運営。

Mental Healp Net

精神科に関する教育資料がある。広告収入で運営。



国立情報学研究所
(NACSIS)

学位論文索引データベースと学会発表データベース,学会予稿集電子ファイル,臨床症例データベース,雑誌記事索引データベースなどがある。

Enjoy JOIS

JST(日本科学技術振興事業団)による日本語データベース。JMEDICINEファイル(医学関連分野の国内誌を対象とする文献情報)JAPICDOCファイル(日本医薬情報センターが作成する国内の医薬品文献データベース)などが検索できる。

サンメディア学術情報サービス

臨床医学和雑誌特集記事データベースがあり,インターネット上では最新の1カ月分の検索が可能利用登録(無料)のみですぐに利用可。

参考文献

飯田真編. 対人恐怖〜人づきあいが苦手なあなたに〜. 有斐閣, 東京. 1981
J.ウォルピ著. 神経症の行動療法新版 行動療法の実際. 黎明書房, 東京. 1987



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13 コメント:

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