2008年04月のブログ|Happily Ever After
シリーズ、第3回目の今日は、予告どおり、
気分障害(Mood Disorder)について、取り上げたいと思います★
気分障害は大きく、2つに分かれます。
★単極性障害(Monopolar Disorder)
★双極性障害(Bipolar Disorder)
単極性・・・鬱(Depression)のみを繰り返す状態を指します。
「うつ病(Major depression)」のことです。
<症状>
抑うつ気分や、興味関心の低下、喜びの喪失、
理由もなく悲観したり、意欲の低下が見られます。
うつ病の思考異状には、微小妄想(Delusion of belittlement)があります。
微小妄想とは、自分を過小評価する妄想で、以下の事を指します。
☆心気妄想(Hypochondriac delusion)
「不治の病に罹ってる、癌で助からない」などと思い込んでしまう状態
☆罪業妄想(Delusion of sin and guilt)
「取り返しのつかない罪を犯した」と考えたり、
「自分が生きていると、みんなの迷惑になってしまう」などと考えてしまう状態
☆貧困妄想(Delusion of poverty)
「お金がなくて入院費が払えない」と考えたり、
「自分は貧乏だから、将来、飢え死にしてしまう」などと考えてしまう状態
<治療>
自殺企図がある場合は入院となります。
★抗うつ薬(Antidepressant)
☆SSRIs(選択的セロトニン再取り込み阻害薬):
神経伝達物質である、セロトニンが再取り込みされるのを阻害し、シナプス内に残留することによって、
おむつかぶれの治療
気分障害を改善する薬です。
・フルボキサミン(Fluvoxamine): 商品名:ルボックス(Luvox)
・パロキセチン(Paroxetine): 商品名:パキシル(Paxil)
・セルトラリン(Sertraline): 商品名:ゾロフト(Zoloft)
☆三環系抗うつ薬(Tricyclic Antidepressant):
セロトニン及び、ノルエピネフリンが再取り込みされるのを阻害することで、抗うつ効果を示します。
また、ドーパミンの再吸収も阻害します。
副作用が強いことから、SSRIsや、Atypical antidepressantが、1st choiceになります。
・アミトリプチリン(Amitriptyline): 商品名:トリブタノール(Elavil)
・イミプラミン(Imipramine): 商品名:トフラニール(Tofranil)
・アモキサピン(Amoxapine): 商品名:アモキサン(Asendine)
・クロミプラニン(Clomipramine): 商品名:アナフラニール(Anafranil)
☆MAO阻害薬(MAO Inhibitors):
モノアミン酸化酵素(MAO)の活性を阻害し、
基質となるカテコラミンやセロトニンの神経末端部での代謝を阻害し、
神経伝達を増強する薬です。
MAO阻害薬内服中は、チラミンが代謝されず、重症高血圧の発作を起こすことがあるので、
チアミンを多く含む食品(チーズ、チョコレート、ワイン、ビールなど)は摂取しないよう、指導が必要です。
日本では、高血圧発作の危険性や、肝毒性があるため、使用されていません。
・フェネルジン(Phenelzine): 商品名:Nardil
高齢者の疼痛管理
・セレギリン(Selegiline): 商品名:Emsam
☆非定形型抗うつ薬(Atypical antidepressant):
新しいタイプの薬剤で、
脳内の化学物質(ノルエピネフリンやドーパミン)に影響を及ぼすといわれています。
不安感を緩和するのに使われます。
・Venlafaxine 商品名:Effexor
・Mirtazapine 商品名:Remeron
・Trazodone 商品名:Desyrel
双極性・・・この文字のとおり、この疾患には、2つの面があります。
鬱(Depression)と、躁(Mania)を繰り返す状態で、
「躁うつ病(Manic-depressive psychpsis)」のことです。
<症状>
双極性障害のうつ状態は、単極性のうつ状態とほぼ同じで、鑑別することは出来ません。
躁状態では、爽快気分で楽しく、活動性が亢進します。
睡眠に対する欲求が少なく、食欲や性欲の亢進、多弁などがみられます。
ただ、刺激性が高まっているので、易怒性といって、攻撃的になりやすいことも知られています。
思考異状としては、以下のものがあげられます。
☆観念奔逸(Flight of ideas)
考えが次々に浮かび、まとまりのない状態
☆誇大妄想()Delusion of grandeur)
「自分は王家の血を引いている」「神である」
「タレントの○○は自分の恋人で、けっこんすることになっている」などと、
喉の痛みとピンクの目がsyphillisの症状です。
自分が他人よりも、容姿、健康、富、地位、能力、恋愛の全てにおいて、
優れていると考える状態
<治療>
★気分安定薬(Mood stabiliser)
気分安定薬は、躁状態とうつ状態の両方の症状を緩和します。
☆リチウム(Lithium): 商品名:リーマス(Eskalith,Lithobid)
リチウムは、躁状態によく効く薬として知られています。中枢神経系に作用し、
自発運動の抑制、気分の安定を促します。
双極性障害では、再発予防のためにも使用されます。
血中の治療濃度域が狭く、中毒になることがあるので、血中濃度のモニタリングが必要となります。
有効血中濃度は、0.6~1.2mEq/Lです。
リチウム中毒の症状は、
・下痢
・嘔吐
・傾眠
・運動失調
・筋緊張の低下
☆バルプロ酸(Vaiproic acid): 商品名:デパケン(Depakene,Depakote)
もともとは、抗てんかん薬として知られています。
神経伝達物質を介した脳内抑制系の賦活により、易怒性や興奮を抑えるとされています。
血中濃度のモニタリングが必要です。
有効血中濃度は、50~125mcg/mlです。
☆カルバマゼピン(Carbamazepine): 商品名:テグレトール(Tegretol)
興奮状態を抑えるとされています。抗てんかん薬としても知られています。
有効血中濃度は、8~12g/mlです。
肝臓や腎臓に負担をかけるので注意が必要です。
また、白血球が3000/mm3になったら、中止することが必要です。
★抗うつ薬(Antidepressant)
抗うつ薬は、双極性障害の治療に昔から使われてきましたが、
最近のNational Institutes of Mental Health(NIMH)の研究では、
双極性障害における抗うつ薬の投与は、気分安定剤を内服していれば、効果がないとされています。
それだけではなく、抗うつ薬が、躁状態を引き起こすこともあること、
また、双極性障害の長期化にもつながることが示唆されています。
そのため、抗うつ薬の投与は、うつ状態が重症の場合に限定されるべきであり、
症状が落ち着いてきたら、続けるべきではないといわれています。
SSRIs、Atypical antidepressantがリチウムとともに、使用されることがあります。
参考文献:NIMH
0 コメント:
コメントを投稿